「後藤先生、男達に殴られたのですよね!?ハンカチで顔を抑えてますが―――――――」
「菅原さんの痛みに比べれば、大したことはないわ。それよりも、ノートを奪われてしまっては、いじめの実態を証明できない・・・!!」
「後藤先生・・・。」
「後藤ちゃんだけの責任じゃないよ!私も犯人を追いかけたけど、取り押さえることができなかった!ふがいない!!」
「それは違います、船越さん!船越さんは、倒れた私に真っ先駆け寄り、手当てして下さったじゃないですか!?だから、顔もそこまで痛みません。」
「何言ってんだい!?濡れたハンカチで冷やさないといけないほど、顔がはれてるじゃないかい!?」
「え!?ちょっと後藤先生!見せて頂いてよろしいですか!?」
「え!?・・・ええ。」
ばつが悪そうにうなずくと、後藤先生は頬を抑えるハンカチをどける。
「な!?」
見れば、あざが出来て、腫れ上がっていた。
「なんてひどい顔に!!私のせいで―――――――申し訳ありませんでした!!」
苦しくなる。
必死で謝れば―――――――
「菅原さんは悪くないわ!!」
そんな私を後藤先生は抱きしめてくれた。
「悪いのは、私を襲った男性達です!襲った上に、窃盗までして!!被害届を出します!!」
そう言いながら、後藤先生が伊藤巡査を見る。
これに伊藤巡査は首を大きく縦に振る。
「わかりました。そのつもりで、被害届を作成しましょう。」
「お願いします!盗まれたのは、私個人の物ではなく、生徒のものです!それも、卑劣ないじめを受けた記録ノートです!必ず、犯人を捕まえて下さい!」
「もちろんです!必ず捕まえ―――――――――」
「捕まえられる保証はないですな~」
「「え!?」」
「なんだって!?」
伊藤巡査の断言をさえぎる言葉。
それで私と後藤先生の声が重なり、船越師範が眉をひそめる。
船越師範は、低い声で聞き返した。


