「も・・・もしもし?」
〈愛弟子か!?やられちまったよ!〉
「え?な、なにがですか?」
電話口の相手は、憎々しげな声をしていた。
それで、ただ事ではないと思っていれば、皮肉にもその予想は的中してしまう。
〈後藤ちゃんが持っていた凛のいじめ記録ノートを奪われた!!〉
「えっ!!?」
(いじめ記録ノートを奪われた!?)
「誰にですか!?」
〈結論から言えば、渕上ルノアの手先だ!〉
「中山達ですか!?」
〈違う!ガキじゃない!プロだ!〉
「プロぉ!?」
〈ああ!今朝・・・あゆみが丘学園最寄りの公園で待ち合わせていて、私は15分早く行ったんだ!その時にはもう、黒服スーツの男共に、後藤ちゃんが囲まれていて――――――――!!〉
「船越師範!今、どこですか!?」
〈――――――公園だよ。あゆみが丘学園最寄りのあゆみが丘公園に、後藤ちゃんと、あたしが呼んだ交番の刑事と4人でいる。〉
「わかりました!私もそちらへ行きます!」
そう伝え、返事を待たずに電話を切る。
(やっぱり、仕掛けてきやがったか!?)
というよりも――――――――
(私がいじめ記録ノートを後藤先生に渡したこと、渕上が把握してたなんて!!)
完全に出し抜かれた!!
敵を甘く見過ぎた!!
その思いで、あゆみが丘公園までダッシュで走った。


