彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)




「え!?」
「さっさとしろ!!」



そう発した口から、血のにおいがした。
引きずられながら見る円城寺君は、全身ケガだらけで、服も若干破れていた。





(どんな戦い方したの!?)


「見ろ!!円城寺さんが、凛道さん連れてきたぞ!!」
「凛道さーん♪」
「円城寺さーん♪」
「龍星軍の双璧、カッコイイ!!」
「視線下さい、円城寺さん!!」
「ハート作って下さい、凛道くーん♪」





戸惑う私は、歓声が響く観客たちの間を通る。
周囲は、私達に注目している。





(ど、どうすればいいの!?)

どうしていいかわからず、円城寺君にされるがまま・・・つままれた状態で、中央のリングへと引きずられた。





「凛道!リングに来い!」
「え!?ちょ、円城寺君!?」





リングに強引に上がらされれば、レフリー姿の敵が満面の笑顔で言った。





〈みなさん!!円城寺大河さん、凛道蓮さんを連れてきました!!〉





レフリーの、九条アキナの声に合わせ、ドッと歓声が上がる。





〈両者中央へどうぞ!!〉


「来い!」

「えええ!?」





リング中央まで引っ張られ、到着した時、やっと円城寺君は私から手を離した。





〈それでは3日後に、凛道蓮VS円城寺大河の試合を行いたいと思います!〉





そうアナウンスするアキナさんの声で、いっきに疲れが出るのを感じる。





「ちくしょう!蹴り入れとけば、私が凛道蓮と戦えたのに!!」
「チッ!あの時、目つぶしすりゃあ、俺が凛道蓮と戦えたのに!!」
「くそー!円城寺をもっと警戒してりゃ、俺が凛道蓮と戦えたのに!!」





そんな声が、3方向から聞こえたので順番に見る。
目に映ったのは、青あざ、切り傷、着衣が乱れた北条高校、西岸高校、南原高校の番長たちがいた。





(なにがあったん・・・?)





そう思わずにはいられない、ボロボロの姿だった。

それを見て思う。



1番ボロボロなのは、円城寺大河君だ・・・と。