「え!?」
「さっさとしろ!!」
そう発した口から、血のにおいがした。
引きずられながら見る円城寺君は、全身ケガだらけで、服も若干破れていた。
(どんな戦い方したの!?)
「見ろ!!円城寺さんが、凛道さん連れてきたぞ!!」
「凛道さーん♪」
「円城寺さーん♪」
「龍星軍の双璧、カッコイイ!!」
「視線下さい、円城寺さん!!」
「ハート作って下さい、凛道くーん♪」
戸惑う私は、歓声が響く観客たちの間を通る。
周囲は、私達に注目している。
(ど、どうすればいいの!?)
どうしていいかわからず、円城寺君にされるがまま・・・つままれた状態で、中央のリングへと引きずられた。
「凛道!リングに来い!」
「え!?ちょ、円城寺君!?」
リングに強引に上がらされれば、レフリー姿の敵が満面の笑顔で言った。
〈みなさん!!円城寺大河さん、凛道蓮さんを連れてきました!!〉
レフリーの、九条アキナの声に合わせ、ドッと歓声が上がる。
〈両者中央へどうぞ!!〉
「来い!」
「えええ!?」
リング中央まで引っ張られ、到着した時、やっと円城寺君は私から手を離した。
〈それでは3日後に、凛道蓮VS円城寺大河の試合を行いたいと思います!〉
そうアナウンスするアキナさんの声で、いっきに疲れが出るのを感じる。
「ちくしょう!蹴り入れとけば、私が凛道蓮と戦えたのに!!」
「チッ!あの時、目つぶしすりゃあ、俺が凛道蓮と戦えたのに!!」
「くそー!円城寺をもっと警戒してりゃ、俺が凛道蓮と戦えたのに!!」
そんな声が、3方向から聞こえたので順番に見る。
目に映ったのは、青あざ、切り傷、着衣が乱れた北条高校、西岸高校、南原高校の番長たちがいた。
(なにがあったん・・・?)
そう思わずにはいられない、ボロボロの姿だった。
それを見て思う。
1番ボロボロなのは、円城寺大河君だ・・・と。


