船越師範の姿が見えなくなった時だった。
「あの!凛道蓮さん!少しお話良いですか!?」
「え?」
そう言って、いかつい男子が声をかけてきた。
「自分、真選組っていう族の頭してます、近本って言うんすけど、ちょっとお話しできますか!?」
「え??」
「おい、抜け駆けすんなよ!凛道さん!!うちのチームの方が伝統があります!!織姫の松本です!!いっぱいおごりますから、俺と話を―――――――――」
「話するのは私らだよ!!凛道さぁん♪私、売り出し中のレディースで、エンディングの頭務めてる荒木って言います♪凛道さんに、ケツもちのご相談を~♪」
「男に媚びるなブス!!凛道さん!あたしら、嵐山は硬派なんで、龍星軍の参加にいつでも入れます!許可ください!!」
「えっ!?え!?ええ!?」
気づけば、人並みが私に押し寄せてくる。
「俺が先だ!」
「私が話すの!」
「あたしよ!」
「俺らが―――!」
「ちょ、ちょっとちょっと!?」
私の周辺でケンカを始める男女達を、止めようとした時だった。
「うはははははははははは――――――――――――!!!」
「なっ!?」
(うるさ!?ヤマト!?)
耳が痛くなるような大声をヤマトが出す。
「うわ!?うるせー!?」
「騒音レベル!?」
「誰だよ!?」
「え!?あの人って!?」
「龍星軍の!?」
「うはははははははははは!!みなさん、おいでましておくれましてごめんやっし~!!凛はわしと先約あるんでまた今度♪ほな、さいなら~!!」
「「「「「「えっ!?」」」」」」
「ヤ、ヤマト!?」
「うははははは!!」
ヤマトは、私をひょいっと持ちあげると、小脇に抱えて奪取した。


