彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






船越師範は、自分の頭上に垂直に下りてくる私のトンファーからのがれるため、首をグルグル回した。
なので私は、手首を使ってトンファーを回転させ、垂直の軌道を、船越師範の顔の真横に移動させた。





「あ!?」





と、船越師範が叫んだ時には、私の横殴りの攻撃が船越師範にヒットしていた。





ゴンッ!!

「ぎゃっ!?」


(手ごたえがあった!!)





そう思うやいなや、すぐに続けざまに横殴りをしたトンファーで、船越師範の顔を往復ビンタならぬ、往復でもう一回、2発目の打撃を与えた。





ゴゴン!!

「が!?この!」

(倒れない!?)





力を込めて打ち込んだが、船越師範は倒れない。
それどころか―――――――――





「本気出すよ!!」

グイ!!


「あ!?」





手で抑えていたトンファーを振り払われる。
私の抑え込みから逃れた船越師範のトンファーが、私の肩に叩き込まれる。





「やあ!!」

バキ!!

「うっ!?」





ジーンとしたしびれで、持っていたトンファーが手から落ちたが――――――――





ガシ!





反対の手でキャッチして構える。





「はあ!」





下から斜めに、船越師範の身体に、切り込むように振るった。





ガキン!





持ち替えたトンファーは、船越師範のトンファーで防がれる。





「やるね!普通は、ゲームオーバーなんだけどね!?」

ヒュン!





と言いながら、反対の手のトンファーを私に打ち込んできた。





「この!」

ガシ!!





とっさに、船越師範のトンファーを、何も持っていない手で受け止める。





(くそ!力つよ!!)

てか、私のトンファーどこ行った!?

そう思って、目だけで周囲を見れば―――――――――――







「すげー♪これが、凛道蓮さんのトンファーでーす♪」
「至近距離で撮れた♪バズるぞ、おい♪」


「コラぁ―――――――――――――――――――――――!!」







撮影している男子達が、手にもって撮影してた。
それを見た瞬間、頭に血が上り、気づいた時には――――――――――





「返せゴラ!!!」

「うわ!?」

ズルズルズルズル!!


「返せガキ共!!」

「「「え!?」」」


「ブチ殺すぞ!!」

(瑞希お兄ちゃんから頂いたトンファー!!)


「あーれー!?」





船越師範を引きずりながら、動画撮影をしている男子達の前に来ていた。






〔★凛は根性を見せた★〕