悪化した状態に頭痛を覚えていれば、事態はさらに深刻化した。
「すげーすげー!!凛道さんとばあさんのガチンコバトル!!」
「便所で待たされて、思わぬラッキー拾ったな、オイ!?」
「え?」
声のした方を見れば、動画撮影をしながら私を見ている男子が数名いた。
(うわあああああああああ!!神よ!!なぜ、ギャラリーまでおつけになったのですかぁぁぁぁ!!?)
〔★凛は神様にクレームを出した★〕
「集中しろ!」
そう言われ、声を発した人物を見れば、こちらに突進していた。
(くそっ!やるしかない!!)
「動画撮影はしないでくれ!!」
そう叫び、利き手のトンファーを船越師範に繰り出した。
ヒュン!!ガキン!!
「軽い!!」
ガン!
「っ!?」
渾身の力を込めたが、軽くはじき返された。
(動きを止めるな、凛!!攻撃を続けなきゃ!!)
ヒュン!ヒュン!ヒュン!
「は!」
今度は、反対の手に持ったトンファーを叩き込む。
ガンッ!
私の金属のトンファーと、船越師範の木製のトンファーがぶつかり合う。
「弱い!弱い!!」
ブーン!
私のトンファーを受け止めた船越師範が、空いてる方の手のトンファーを私の顔に向けてきた。
「わっ!?」
とっさに、頭を下げれば、髪の毛に、船越師範のトンファーが触れたのがわかった。
同時に、体のバランスが崩れる。
「もらった!」
ガキン!!
「!?」
船越師範のトンファーと交差していた私のトンファーがはじかれる。
船越師範の両手のトンファーが、クロス状態で私に向けられる。
だから私は―――――――――――――――
「―――――――――――はあ!!」
ガシッ!!
「なに!?」
トンファーを持っていない手で、船越師範クロスされているトンファーの部分をつかんだ。
そして――――――――――
「はああああああああああ!!」
残っているトンファーを素早く振り上げると、船越師範の頭上へ、垂直におろした。
「くっ!?」
それで船越師範が、自身のトンファーを動かそうとしたけど、私は離さなかった。
「はああああああああああああああああ!!」
「たああああああああああああああああ!!」
雄たけびを上げる私達。


