彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






(これじゃあ負ける!)



負けてしまったら――――――――私の秘密をばらされる!!



(それは嫌だ!!)



「―――――――――――――――ハッ!!」

ダン!





両手で船越師範の攻撃を防いだ状態で、利き足を動かし、船越師範の足を思いっきり踏む。



「っ!?」



かすかに眉を顰める相手をよそに、船越師範の足を踏んだままの状態で、反対の足でけりを繰り出す。





ビシュン!!

「回し蹴りか!?」



ゴン!

「っ!」





トンファーで、私の蹴りは防がれたが、船越師範の胸ぐらあたりに空間が出来た。
私の蹴りを防いだ船越師範のトンファーとは逆のトンファーは、私のトンファーと交戦中。
つまり、船越師範からの攻撃は来ない。
そう思ったので、一か八かで、船越師範へ頭突きを繰り出した。





ガツン!!

「ぐ!?」

「う!」

(ごめんなさい!!船越師範!!)





船越師範の鼻を狙って頭突きをした。
あわよくば、血が出ればいいと思ったから。





(血を見れば、人によっては冷静になったり、パニックになる。船越師範がそれらのタイプの人間だといいのだけど―――――――――)





もしも、船越師範が血を見て、興奮するタイプだったら意味ないけど。





「フン!」





船越師範が私から離れる。
後ろに数歩、後退する。
そして、自分の鼻から出ている赤い液体を確認すると、ニヤリと笑って声高らかに言った。





「やるじゃないかい!!燃えてきたよ!!」


(・・・・・・・ダメか。)

予想は外れた。

(船越師範は、血を見て興奮するタイプか・・・。)





〔★凛は、船越師範のやる気スイッチを押してしまった★〕