トンファーを構え直す。
「どうした?来ないならこちらから行くぞ?」
挑発的に告げる船越師範は、百鬼とダブって見えた。
(先に動いた方が不利な気がする・・・。)
船越師範とは、菅原凛の時に何度も手合わせをしてもらっている。
ハッキリ言って、1度も勝ったことはない。
(だからといって、負け星を更新するわけにはいかない・・・!)
相手が私を凛道蓮だけではなく、菅原凛としても戦いを望むなら、負けるわけにはいかない。
しばらく動かずにらみ合いを続ける私達。
「慎重だね。」
先に動いたのは、船越師範だった。
フッと笑いかけると、なぜか構えをとく。
「!?」
(なんのマネ!?)
ガンを飛ばせば、完全に構えをといて、トンファーを持った両手をだらんと垂らした状態で一歩踏み出す。
「!?」
そして、そのままスタスタとこっちに向かって歩いてくる。
表情もいつも通り穏やかなものだった。
(何を考えてるかわからない!)
でも、近づいてくる。
(なんのために!?)
「――――――――――攻撃のためだよ!!!」
ヒュン!ヒュン!
ガキン!キン!!
「うっ!?」
柔らかな表情と動作が一変し、鋭い攻撃が至近距離で私へと与えられる。
「くっ!?」
強烈な左への攻撃に、左手に持ったトンファーを落としそうになる。
「なに不思議な顔してんだい!!戦うために近づいてるに決まってるだろう!?」
ガン!ガン!ガン!
左手のトンファーを持ち直したところで、左へ再度、強烈な打撃がくわえられる。
「う!?く!?この!」
(防ぐだけで精いっぱいだ!!)
空いている右手を動かそうとしたが――――――
ヒュン!ガガン!!
「うわ!?」
私が動かす前に、こちらも強烈な打撃を受けた。
ヒュン!ガン!ヒュン!ガン!ヒュン!ガン!
「ほらほら!どうしたんだい!?まだ一撃も返せてないよ!?」
防戦一方の私を船越師範がしかりつける。


