彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






トンファーを構え直す。





「どうした?来ないならこちらから行くぞ?」





挑発的に告げる船越師範は、百鬼とダブって見えた。





(先に動いた方が不利な気がする・・・。)





船越師範とは、菅原凛の時に何度も手合わせをしてもらっている。
ハッキリ言って、1度も勝ったことはない。





(だからといって、負け星を更新するわけにはいかない・・・!)





相手が私を凛道蓮だけではなく、菅原凛としても戦いを望むなら、負けるわけにはいかない。
しばらく動かずにらみ合いを続ける私達。





「慎重だね。」





先に動いたのは、船越師範だった。
フッと笑いかけると、なぜか構えをとく。





「!?」

(なんのマネ!?)






ガンを飛ばせば、完全に構えをといて、トンファーを持った両手をだらんと垂らした状態で一歩踏み出す。





「!?」





そして、そのままスタスタとこっちに向かって歩いてくる。
表情もいつも通り穏やかなものだった。





(何を考えてるかわからない!)





でも、近づいてくる。





(なんのために!?)


「――――――――――攻撃のためだよ!!!」

ヒュン!ヒュン!

ガキン!キン!!

「うっ!?」





柔らかな表情と動作が一変し、鋭い攻撃が至近距離で私へと与えられる。





「くっ!?」





強烈な左への攻撃に、左手に持ったトンファーを落としそうになる。





「なに不思議な顔してんだい!!戦うために近づいてるに決まってるだろう!?」

ガン!ガン!ガン!





左手のトンファーを持ち直したところで、左へ再度、強烈な打撃がくわえられる。





「う!?く!?この!」

(防ぐだけで精いっぱいだ!!)





空いている右手を動かそうとしたが――――――





ヒュン!ガガン!!

「うわ!?」





私が動かす前に、こちらも強烈な打撃を受けた。





ヒュン!ガン!ヒュン!ガン!ヒュン!ガン!

「ほらほら!どうしたんだい!?まだ一撃も返せてないよ!?」





防戦一方の私を船越師範がしかりつける。