彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






「本当は、外の方が監視カメラもなくていいんだけど、今日の試合で駐車場は満車!見通しの良い広い場所はここしかなかったんだよ。」
「・・・。」
「私はね、凛道蓮・・・・・だらだらしゃべるのは嫌いなんだ。」





そう言って笑うと、船越師範は私へと向き直る。





「素直について来てくれてありがとう。とりあえず―――――――――」

ザッ!!

「やろうか・・・・・!!?」





そう告げる船越師範の顔から笑みが消え、試合をする時の鬼の表情になっていた。
それで私の神経も研ぎ澄まされる。





「・・・僕と、戦いたいということですか?」
「そうだ!」
「僕が嫌だと言ったら?」
「あんたが一番嫌がることをする!!」

「!?そうですか・・・」

私が一番嫌がること・・・・



(瑞希お兄ちゃんに私の正体をバラすということね!!?)



そんなこと、絶対にさせない!!



「ならば、お受けするしかないようですね・・・?」
「やっとその気になったかい?じゃあ、始めようか・・・!?」





そう言うと、持っていた荷物を床に置く船越師範。





「手合わせは公平さが命だ。あんたの土俵で戦わせてもらうよ!」
「なんだと?」
「こいつを―――――――――――――使うんだよ!!」

ヒュン!パシ!

ヒュン!パシ!



(あれは――――――――)



「トンファー!?」

「そう!あんたのは、加工されたものだけど、あたしのトンファーは師範から引き継いできた年季の入ったものだよ。」



(知ってる!)



琉球空手を本土に広めた船越義珍師範が、何度か使用したと伝えられている代物。

大事にされていたので、特別な時しか船越師範は使わなかった。

だから、現物を見るのは菅原凛では2回目、凛道蓮では初めて・・・。





「凛道蓮!あんたのからくりもどきのトンファーを出しな!」
「・・・・・折り畳み式と言って下さいよ。」





断る理由もなかったので、装備していた2本のトンファーを手にする。





ヒュン、ヒュン!





トンファーを構え、戦闘態勢に入る。





「はじめようか・・・!?」





ゆっくりと、にじり寄りながら告げる船越師範。





「お手柔らかに・・・。」





これに私も、間合いを取りながら移動する。
ロビー中央で、殺気を放ちながら対峙する私達。
会場では、4人の男女達によるバトルロワイヤルの火ぶたが切られた一方で、船越師範VS『菅原凛』&『凛道蓮』の戦いも幕を開けた。