「愛弟子が話さないなら、愛弟子の恋心を、私が片思い相手に伝えることにしよう。」
「そ――――!?」
(そんなことされたら困る!!)
そう思うが、なんと言えばいいのかわからない。
押し黙る私に、初めて船越師範は笑顔で言った。
「凛道蓮君、年寄りの散歩に付き合ってくれるかい?」
「・・・もちろんです。」
相手の意図はわからなかったが、ここは船越師範の言葉に従った方が安全だと判断する。
「さあ、行こう。」
「・・・。」
ニコニコしながら歩きだす船越師範の後を、その背中を見つめながらついて行くしかない私。
(どこまで行くのだろう・・・?)
だんだん会場から離れていく。
歓声が遠のいていくのを感じながら、次の一手を思案する。
(信じたくないけど、船越師範は凛道蓮が菅原凛だと気づいてる。)
受け入れたくない現実を受け入れ、どうすれば最悪の事態を免れるか考える。
(菅原凛にとって、凛道蓮であることは弱み・・・弱点でもある。)
秘密を守るためなら、船越師範でも容赦しない。
(だけど、実力で勝てるほどやさしい相手じゃない。)
だったらどうすれば―――――――――・・・・・・・・!?
(船越師範の弱みを、私も握ればいいんじゃないの・・・!?)
〔★凛は不穏な考えに行きついた★〕
船越師範の弱点!!
(探すんだ!船越師範の弱点を!!)
探せないなら―――――――
(船越師範の弱点を作るしかない、のでは・・・・・・・・!?)
そこまで考えた時だった。
「ここしかないか。」
船越師範がしゃべった。
気づけば、人気のいないロビーに誘導されていた。


