彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)




「・・・帰るか。」



戻ったら戻ったで、瑞希お兄ちゃんが円城寺君話を延々としそうだけど――――――





(瑞希お兄ちゃん、『笑顔』で話してたからな・・・)





好きな人の笑顔が見れるなら、この際話の内容は目をつぶろう。

そう思い、来た道を戻ろうとした時だった。





(え!?)





前方からやってくる1人の人物に釘付けになる。





(船越師範!?)





相手が、武術の指導を受けた先生だったから。
若者ばかりの人ごみの中、老婦人がいるのはすごく目立った。





(どうしてここにいるの・・・!?)





疑問に思ったが、だからといって声をかけるわけにはいかない。
あくまで私は『凛道蓮』であって、船越師範の知らない人間なのだ。
関わってはいけない。
身バレを防ぐためにも、知らん顔してやり過ごさなければいけない。
一歩、また一歩と、私と船越師範の距離が近くなる。





(大丈夫よ凛!絶対に、気づかれたりしない!平常心でいるのよ!)





そう自分に言い聞かせ、顔を上げて正面だけを見据える。
無表情を作り、場違いな老女など眼中にない姿勢を貫く。
私と船越師範が向き合う距離までくる。
そして、お互いがお互いを見ることなく並んだ。





(よかった!!何も言われなかった・・・!!)





そう安心した瞬間、船越師範がすれ違いざまにつぶやいた。







「愛弟子。」

「!?」

(バレた―――――――――――――――!!?)

ダメよ!バレたとしても、しらを切り通さなきゃ!!



無視して、背を向けて歩き続ければ――――――





「愛弟子が話さないなら、愛弟子の恋心を、私が片思い相手に伝えることにしよう。」

「なっ!?」

(なに言い出すの!?)





反射的に振り返れば、距離的に離れていると思っていた船越師範が目の前にいた。





「うわっ!?」





思わず驚きの声を上げれば、無表情で船越師範は続ける。