彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






リムジンの動きが止まる。





「着いたぜ!下りてくれ!長政とそのおまけ達!」
「誰がおまけだコラ!?」





催馬楽メテオの言葉に、円城寺君だけが反応する。
私は適当にスル―して、瑞希お兄ちゃんと手をつなぎ・・・ちーちゃんにしがみつかれた状態で車から降りた。
目の前に広がっていたのは、高級ホテルの玄関だった。
十数人のホテルマンが両脇にたたずみ、一静に会釈をしながら言った。



「ようこそ、お越しくださいました。メテオ様。」
「出迎えご苦労。長政とおまけもいるが、よろしく頼むぞ。」
「かしこまりました。」
「よし、長政とおまけ共、俺について来い!」
「この!人を駄菓子のおもちゃ扱いしやがって!」
「ウェイウェイウェイ!たいがっち~怒るとしわが増える系~」
「相手にするな、大河。」
「はい!瑞希さん!」



瑞希お兄ちゃんがなだめたこともあり、円城寺君の期限も治る。
催馬楽の案内で、高級ホテルの室内を移動する。



「地下まで下りるからな。」



そう言いながら、豪華なエレベーターの前で立ち止まる西岸の番長。



(この大人数で、1回で乗れるかな?)



私の心配をよそに、ガラス張りになっているエレベーターは広かった。
余裕で全員が乗ることができた。



「長政、ドア閉めるぞ。」
「リンリン、いい香りがする~♪」
「ちょ、くっつきすぎです!」
「くっ!ドア閉めるからな!!」



ちーちゃんに無視されてもなお、声をかけ続ける催馬楽メテオが可愛そうに見える。
地下のボタンを押して、閉めるボタンを押すと、私達を乗せた箱は、下へと降りていく。



チーン!



ほどなくしてエレベーターは、地下へと到着する。
エレベーターの扉が開く。





「うわ・・・。」





そこで目にしたのは――――――――――





(漫画で見るような地下闘技場!!)





中央にリングが設置され、客席が2階まであるスタジアムのような場所。
1階の壁際には複数の屋台とカウンター席が設置されており、飲食が出来るようになっている。
リングは、テレビやAmazonプライムで見るような格闘技選手が使うようなもの。
正方形のリングの周りには、フカフカのソファーの椅子がお行儀よく並べられていた。