リムジンの室内は、居心地が悪かった。
「この車の所有者はこの催馬楽メテオ様だ!よって、催馬楽メテオの隣には、幡随院長政に座ってもらう!」
この注文に対して、ちーちゃんは・・・
「いいよー♪」
あっさりとOKを出す。
それで西岸の番長の目が輝く。
「いいのか、長政!?」
「ウェイウェイウェイ!もちろん♪よって、反対隣はリンリンが座ってねぇー♪」
「え!?」
笑顔で言うちーちゃんに、ショックで固まる催馬楽メテオ。
だから私も、負けじと言った。
「でしたら、僕の反対隣は、真田瑞希様でお願いします!!」
「おう、いいぞ、凛。」
「「え!?」」
照れながら言えば、満面の笑みでOKを出して腰かけて下さる瑞希お兄ちゃんと、その様子に声をそろえて叫ぶちーちゃんと円城寺君。
「だ、だったら!!瑞希さんの反対隣は俺が!!円城寺大河がもらった!!」
そう言いながら、ドスッと瑞希お兄ちゃんの隣に座る円城寺君。
「凛と幡随院はともかく、大河の奴まで、何自己主張してんだか!」
「カ、カ、カ、カンナ!隣座るぞ~!」
「じゃあ、俺は悠斗の隣に。」
「俺が凛先輩の隣に座りたかった!」
「凛さんのお側に行きたかった・・・!」
「ますみも!」
「我が君~」
「しかたないでしょう。凛ちゃんの指名だから諦めなきゃ。ねぇ、鳴海ちゃん、小林ちゃん?」
「はーい♪モニカお姉様♪」
「だ、大丈夫です!」
「帰りは凛道の隣をキープする。」
「それ、自分のためじゃないよなぁ~伊織?」
「わはははははは!!修羅場のにおいがするぜ!!」
「うははははは!!ほんまでんなぁー!!」
そんなこんなで、私達を乗せたリムジンは安全速度で走る。
車内では飲み物などが提供されたが、誰も口にはしなかった。
「・・・敵からのもらいもん、軽々しく口にするなよ。」
「瑞希お兄ちゃん・・・。」
そう好きな人に耳打ちされたので、私は飲まなかった。
他の皆もおそらく、私を待つ間に同じことを言われていたのだろう。
誰も飲み物に手を付けないことに、特にちーちゃんが飲まないことに、催馬楽メテオは不機嫌だったから・・・やっぱり何か入っていたのかもしれない。
〔★油断禁物である★〕


