彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






「瑞希さん!!なんで凛道ばっかり、甘やかし―――――――!!」
「――――――――甘やかしてない!!全員黙れ!!これ、龍星軍初代総長命令な!?」
「「「「「「「「「う・・・」」」」」」」」」
「瑞希さ―――――――――――――――――ん!!?」





クレームを出そうとする仲間達を、服従の呪文で黙らせる瑞希お兄ちゃん。
そして視線を、燃え尽きている西岸の番長に向けながら言った。





「それじゃあ、予定通り案内してもらおうか?」





瑞希お兄ちゃんが、そううながせば、それで放心状態だった催馬楽メテオの目が光る。





「・・・くっくっくっ!もちろんだ!凛道蓮に!俺の長政を奪った凛道蓮に!!地獄見せてやるよ・・・!!」


(うわぁ~八つ当たりとイヤな予感しかしなーい・・・!)





恨めしそうな目で私を見ながら、のろのろと動く西岸の番長。
催馬楽メテオが合図を出せば、運転手が下りてきて、リムジンの後部座席のドアを開ける。





「さあ・・・遠慮せずに乗れよ、凛道蓮・・・!今日を楽しい一日にしてやるからよぉ・・・!」
「え?僕がファーストで乗車する流れですか?」
「じゃあ、ちーちゃんと腕組んで乗ろうねぇ~リンリン♪」

ガシ!

ぐい!

「え?」





そう言われたと思った時には、ちーちゃんに腕を引かれ、リムジンに乗り込んでいた私。





(あーん!瑞希お兄ちゃんと一緒がよかったのにー!!)





と思ったのもつかの間。





「長政・・・!!」





ちーちゃんの名前をつぶやき、私とちーちゃんが一緒にリムジンに乗る姿を見て硬直する催馬楽メテオ。
そのこわばらせた身体から、ボキコキメキと、関節が鳴る音がする。





「おい、凛!あんまり嫉妬させるな。」





そう言いながら、続いて乗り込んできた瑞希お兄ちゃんの背後では、親の仇でも見るような目で開いた両手を、ポキポキと鳴らす西岸の番長の姿がとても印象的だった。





〔★催馬楽は凛に焼きもちを妬いている★〕