彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






ヤマトの単車の後ろに乗せてもらい、最速のスピードで『Felicita(フェリチータ)』に向かった。
目視で、お店を確認できる距離まで来た時、確かに長い車体のリムジンが、『Felicita(フェリチータ)』の正面の出入り口をふさいでいた。





「長政ぁ~!ちょっとでいいから、顔見せてくれよぉ~!な~が~ま~さぁ~!!」





ドアに張り付き、こぶしでドンドン叩きながら、そう訴える西岸高校の番長がいた。





「ヤマト!」
「うはははははーい!」





私の合図で、ヤマトが巧みなバイクテクを披露した。





「な~!が~!ま~!さ」


キュォオオオオオオン!!


「お静かに願いますっ!!!催馬楽メテオさん!!!」





催馬楽メテオの側で、単車を急停止させる。
ぶつかるかぶつからないかのギリギリの位置。
普通なら、驚いて飛びのくのだが――――――――





「よぉ!待ってたぜ!凛道蓮と大親友よー!!」

ガシ!

「うわ!?」





飛びのくどころか、私の方に身を乗り出し、肩に手を置いてきた。





(ビビらないとは―――――――さすが、番長してるだけあるわね。)


「お前が早く来ないから、長政出てこないじゃねぇーか!?」
「それだけが原因じゃないと思いますよ!大声で名前を呼ばれて外から戸を叩かれたら、良い気分はしないでしょう?」
「はあ!?なんで!?俺は注目されるの好きだぞ~!?」
「催馬楽君の場合、悪目立ちなんですよ!」
「おいおい!こっちが下手に出てりゃ、いい気になりやがって・・・!長政が気まぐれで付き合ってるのを、本気にしちゃって調子乗りすぎだろう・・・!?」
「はあ?別に僕はそんなつもり、ありませんけど?」
「よく言うぜ!まんざらでもないくせに!言っとくけど、長政は必ず半グレに復帰させるからな!?その時の相棒は、この俺!催馬楽メテオになる――――――――――」
「――――――――なるわけないだろうっ!!!いい加減にしやがれクズ!!」


バンッ!!チリン♪チリーン♪





西岸高校の番長のさえぎるようにベルと罵声が響き渡る。