彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






「あたしも飲んで美味かったから、大丈夫だよ!飲んでごらん!さあ、これだよ!」
「!?こ、これって!?」





ドリンクが入っている紙袋を見て、表情が崩れそうになる。






(瑞希お兄ちゃんのお店で出してるテイクアウト用の紙袋!?)







じゃあ、まさか中身は――――――――――





同様を必死で抑え、平静を保ちながら聞いた。





「こ・・・これは・・・どこの飲み物ですか?」
「えーとね~行きつけのコーヒーショップのコーヒーだよ!美味しいよぉ~!」
「そうそう!俺らが常連の店のカフェオレ!疲れに効くように、甘口にしてもらったから!」


おいおい、ウソだろう、オメーら!?



(この時間に瑞希お兄ちゃんのお店は営業してない!つまり、時間外労働をさせたということか!?)



「あの・・・このカフェオレを販売してるお店の名前って、なんとおっ―――――――――」
「ごたくはいいよ!愛弟子、さっさと飲みな!今日はどこらへんで降ろせばいい!?」





真相を確かめようとしたら、船越師範が遮ってしまう。
誤魔化したとも受け止めるような言い方に、確信が強まってしまう。





「・・・では、シートを汚さないように気をつけながら、いただきます。」
「「「召し上がれ♪」」」





息ピッタリで声を合わせる3人。
見覚えのあるカップを取り出し、見覚えのあるストローをさして口づけて、中身を吸い上げる。





「お・・・・」

「「「『お』!?」」」


(お兄ちゃんのカフェオレの味だぁぁぁぁぁ!!)





3人は、私が美味しいというのを期待したのだと思う。
だが、私の一番の感想は、『想い人である瑞希お兄ちゃんが作ったカフェオレと同じ味、というか、瑞希お兄ちゃんのカフェオレじゃん!?』というものだった。





(とはいえ、瑞希お兄ちゃんの味じゃねぇーか!?とは、菅原凛の姿では言えない。)





だから、最大の演技力を持って私は言い放った。





「お・・・お~い~し~い~♪すごく美味しいです!これ、絶対に高価なものじゃないですか!?プロが作った物ですよね!?作った人、すごーい!!」





満面の笑みを作って答える。