「う、うっせーな!ルノアちゃんにチクるぞ!?俺らの仕事の邪魔したって!」
「学生の仕事は勉強でしょう!?さっきから見てたけど、車の間を移動することの、どこが仕事だっていうの!!?全員名前をなのりなさい!!」
「そんな態度取っていいのかよ!?ルノアちゃんが知れば、怒る―――――――」
「私がもう怒ってるの!!あなた達ね!?私の車に落書きしたのは!!?渕上さんに指示されてしたわけ!!?私が渕上さんに何したか、説明してちょうだい!」
「はあ!?なんでそうなるんだよ!?」
「説明するまで、あなた達から離れないわよ!?」
「くそ!めんどうくせぇなぁ~」
(今だ!)
中山達の視線が完全に後藤先生に集中した瞬間、私は身体をかがめた姿勢でダッシュした。
車専用の出入り口から、校内から外に出る。
そしてすぐに、止まっている車を発見して駆け寄る。
すると、自動ドアのように後部座席が開いた。
「愛弟子!」
「船越師範!」
「乗りな!」
「はい!」
バタン!
ドアを閉めれば、車は静かに発進した。
「今日は穏やかに乗車できたね?」
「はい。後藤先生が、敵を引き付けてくれたおかげです。」
「そうだったかい。やるね、あのお嬢ちゃんも。」
「はい・・・だからこそ、巻き込んでしまって申し訳ないです。」
「何言ってんだい!?困ってる生徒を助けるのが、教師の仕事なんだ!それは後藤先生も承知の上だよ!」
「ですが・・・」
「で!?ちゃんと、後藤先生に『例の物』は、渡せたのかい!?」
「渡せました。」
「そうかい・・・いじめの記録を記したノートは、渡せたんだね・・・!」
そう・・・私が後藤先生に渡した分厚いノートには、渕上ルノアを含めた1年B組全員はもちろん、名前がわかる範囲、あるいは外見的特徴を元に、私をいじめてきた他のクラス学年の男女すべてから受けたいじめの内容と、井谷を筆頭とした教師陣からのいじめの内容を書いた記録を渡した。
日付はひとまず昨日付けにしてるけど、今日からは第2のいじめ記録ノートを作ればいいので問題はない。


