「瑞希―いじめはダメだが、邪魔者には一撃入れるからな~」
「頼むわ。」
「?」
何のことかと思えば、烈司さんが羽交い絞めしていたドレッド頭のリーダーを――――――
「オラ――――――!!」
「へ!?え!?うわあああああああああああ!!」
ブーン!グシャ!!
ジャーマンスープレックスをかけた。
「ぐへっ!!」
それで、敵のリーダーは完全に伸びてしまった。
「ご苦労、烈司。さっさとおさらばしようぜ。」
「おうよ♪」
こうして、手早く私達は撤収の作業にかかる。
カラになった消火器を瑞希お兄ちゃんの単車の後部座席に詰め込み、烈司さんが持っていたエコバックに敵のスマホやビデオ類を入れて、私は瑠華さんの手を引いて、敵を踏まないように誘導する。
「ケツ持ちは俺がするから、凛達は先にここから離れろ!」
「え!?瑞希お兄ちゃんを残して先に行けませんよ!一緒に行きましょう!」
「ばか!俺は単車、お前らは徒歩!同時にバックレたら、バイクの俺の方が早く現場から逃げれるだろう?そうなったら、爆音聞いて様子見たご近所さんが、凛達を見て、通報デモされたら面倒だろうが!」
「そこまでお考えになっていたのですか!?」
「当然!ほら、先に行け!家で会おうぜ?」
そう言って、私の頭をなでなでして下さる好きな人。
「お言葉に甘えます!」
苦渋の決断で、足早にその場から離れる私達。
来た道を逆走し続ければ、ほどなくして、人通りのある道に―――――――人でにぎわい、私達のバイクが置いてある場所へと続く通りに出る。
「瑞希お兄ちゃん、大丈夫でしょうか・・・?」
「大丈夫だよ、凛たん♪耳をすませてごらん♪」
そう言われ、反射的に両目を閉じれば――――――――――
ブロロロローン!!
「あ!?瑞希お兄ちゃんの単車の音!」
聞き覚えのある音を確認して目を開ければ、目の前にはにっこり微笑む瑠華さんの顔。
「る・・・」
「りっちゃん、西岸高校のヒットマンから、まもってくれてありがとう♪」
チュ♪
そう言われ、額にキスされる。
「・・・瑠華さん・・・。」
「帰りも、りっちゃんのバイクの後ろに乗せてね?」
そう言いながら私の腕を組んでくる美女。
それで、すれ違う男性たちが私達を振り返りながら見る。
(同じ腕組みするなら、瑞希お兄ちゃんがよかった・・・)
表情には出さず、心の中でがっかりしながら、バイクが待つ場所へと向かったのだった。


