「船越師範、タカ&トモさん、本日もありがとうございました。」
「いいってことよ!明日は、あゆみが丘学園の側にある電話ボックスの前だよ!」
「はい!よろしくお願いします!」
そう言って、頭を下げて下りようとしたら―――――
「待ってお嬢ちゃん!」
「はい?」
タカさんに呼び止められた。
「これ!持ってて!」
「!?これは・・・。」
見覚えのあるカードを渡された。
「凛道蓮さんは、いつもそこのコーヒーショップに顔を出してる。」
そう言って渡してきたのは、『Felicita(フェリチータ)』のカードサイズのパンフレット。
「マジでヤバくなったら、不良もへったくれもないから!」
「タカの言う通りだよ、女子高生ちゃん!ヤンキーはヤンキーでも、いい意味で普通じゃない、頼もしい子だからさ!それだけは信じてくれ!」
「・・・お心遣い、痛み入ります。」
そう伝えて、ショップカードをお財布にしまう。
それで、あからさまにホッとするタカ&トモさん。
「ちょいと!そんなもんあるなら、私にもおくれよ!」
「あ、すみません、師範!どうぞ!」
「ありがとう!フーン・・・『フェリチータ』と読むんだね・・・・。」
「あ、では!私はこの辺で失礼します!」
「ああ、気をつけて勉強して帰るんだよ!」
「期末試験ファイト!」
「応援してるぜ!」
「みなさん、ありがとうございます・・・!」
車から降り、深々とお辞儀をする。
それに彼らはクラクションで答えると、あっという間に走り去ってしまった。
「・・・頼もしい子、ね・・・。」
周りが『菅原凛』をどう評価してるかなんて関係ない。
でも、瑞希お兄ちゃんから非継いだ龍星軍を率いている『凛道蓮』の評価は気になっていたが――――――
(まさか、テメーの問題を、テメーに相談しろと提案されるとはな・・・!)
皮肉な展開に小さく笑うと、周りの目を気にしながらヤマトのマンションへと向かった。


