彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






「そうね・・・証拠は・・・肉声の証拠はないけど、日記だけでも十分に証拠になるわ。頑張りましょう。」
「後藤先生・・・私のいじめを弾劾する件ですが、無理にしなくてもいいのですよ。今ならまだ、引き返せます。」
「何を言うの!?教師として、生徒を守ることは当然のことよ!?」
「こちらが攻撃を仕掛けてくることを、渕上さん達は把握したうえで、迎え撃つ態勢を整えています。多勢に無勢では・・・」
「あきらめないで!私はあなたの!菅原凛さんを助けたいだけなの!」
「後藤先生・・・。」
「とにかく、このことは私から船越さんに伝える。3人で力を合わせましょう。」
「・・・わかりました。では、この辺で別れましょう。」
「え!?家まで送っていくわよ?」
「テスト期間中の教師と生徒の密な接触は、やましいことがあると誤解されやすいのですが?」
「え!?まさか――――――――私が菅原さんにテストの答えを教えて、菅原さんがカンニングしたというストーリーを作ろうとでもいうの?」
「渕上さんならそうしますよ。」





低めの声で言えば、後藤先生の表情がこわばる。





「では・・・どうか、後藤先生もお気をつけて。失礼をします。」
「菅原さん、私は――――――――」
「後藤先生はいい先生です。いじめが解決しようがしまいが、良い出会いが出来て私は嬉しいです。」
「菅原さん!間違っても、命を―――――――」
「死にません。後藤先生、また明日!」





ニッコリと笑顔を作り、軽く手を振ってから、全力で後藤先生から離れた。
中庭についたところで、別れた私達2人。
冷たい風で耳が冷える感覚に身震いしつつ、正門の方へと向かったのだった。