彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






(後藤先生大丈夫かな・・・?)





ヤマトは大丈夫的なことを言っていたけど、後藤先生には渕上の手下が尾行としてついてるわけよね?

それって今もなの?





(ヤマトの説明から推測すれば、B組の男子なんだろうけど・・・)





どうしよう・・・。





(船越師範が迎えに来るから早くいかなきゃいけないのはわかってるけど、後藤先生にも、後藤先生が渕上ルノアの子分たちに尾行されたり、監視されてることを、黙っとくわけにはいかないよね・・・。)





でもな・・・敵にこっちの手の内がバレてるのに、後藤先生に会いに行くのは逆に後藤先生への危険性を重くするだけにならないかな・・・?





(そもそも、後藤先生に危険を知らせようにも、ヤマトから聞いたとは言えないからな・・・。)
絶対に、『菅原凛=凛道蓮』と、バレるわけにはいかない!!





瑞希お兄ちゃんに告白してないのに、バレるとかありえないから!!





(だけど、後藤先生にこのまま敵に録音のことがバレてないことを言わないわけにはいかない・・・!)





よし・・・!何とかうまいこと、言葉を選んで伝えてみよう!





(そうと決まれば、船越師範には少し遅れると連絡をして――――――!)





そう思った時だった。







「菅原さん!」
「ご、後藤先生!?」







見れば、正面からこちらに向かってくる女性教諭の姿。





「会えてよかったわ、菅原さん。悪いけど、これから一緒に、生活指導室まで来てもらえる?」

生活指導室・・・教師たちが、井谷でもいたらヤバイ!!

(敵陣の中じゃない!)

「あ、あの後藤先生!」
「なに?」
「中庭の方へ行きませんか?ちょっと・・・・敵がいる場所は・・・・」
「え?・・・・・・・・・なにかあったの?」





小声で聞いてくる教師に、私も同じ音量で答える。





「なかったから、お伝えしてるのです。」
「!?・・・わかったわ。先生と中庭まで・・・散歩しましょう。」





そう言って、私の肩を抱く後藤先生。
そのまま私達は歩き出したのだが、ふと、窓ガラスに目をやった時、私は表情がこわばった。
透明なガラスに反射してうつる私達の姿と一緒に、私達をにらみつける全校生徒達の様子がそこに映し出されていたのだった。