彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)




期末テスト2日目。
無事に、今日一日のテストが終わるや否や、教室から素早く出ていく私。



「終わった!生物終わった!」
「はあ?今終わったのは、現代文だろう?」
「ばーか!結果最悪の意味で終了宣言したんだよ!」
「あ~そっち?俺も、生物出来が悪かったなぁ~」
「あたしは化学しかできた気がしない。」
「えー?あんた科学得意だっけ?」
「四択じゃん?」
「きゃははは!運任せにしてんのぉ~」
「ほっといてよねぇー」



和気あいあいとするクラスメートを無視して、空気のように教室を脱出した。





(帰宅する時はいつも、パックジュースの空を投げつけられてたんだけどな・・・。)





見事なまでに、何も起こることなく無傷で済んだ。





(あとは、他のクラスの奴らが、いろいろ投げてくるかどうかなんだけど―――――――)





「え!?ウソ!?凛道さんのタイマンチケット買えたの!?」
「彼氏が頑張ってくれたの~♪」
「いいなぁー!当日はテレビ電話していい!?」
「てか、写真!凛道さんの写真ほしー!撮影お願い、お願い!」
「しょーがないな~」





いつもなら、ぞうきんを投げてくる女子が何もしてこない。





「あームカつく!なんで、バトルロワイヤルも凛道さんのタイマンも、俺見に行けないわけー!?」
「ははは!お前、運悪すぎだろう!?」
「バトルロワイヤルはともかく、タイマンは一部が買い占めたらしいぜ?」
「はあ!?どこのどいつよそれ!?」
「そりゃあ~我が学園の女帝様だろう~?」
「マジかー!俺も同じクラスになりたかった!!」





いつもなら、足を引っかけて転ばそうとする男子が何もしてこない。





(これってつまり――――――)





このことから導き出された答えは・・・





(全校生徒が、私と後藤先生の接触を知ってて何もしてこないってこと?)





そうとしか考えられないほどの空気扱いぶり。





(それだけみんな、録音されることが嫌なのね・・・。)





同時に、わずかな時間の間に、全校生徒にその情報を拡散させたであろう渕上ルノアにムカついた。





(あの悪霊め!!どれだけ私に迷惑かければ気がすむんだ!?)





苛立つ一方で、不安にもなった。