彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)




後藤先生とは下駄箱の前で別れる。
そして、そのまま一番近い女子トイレに入った。



「はあーーーー・・・・・。」



肩で息をして、フェイスタオルを取り出す。
首に引っ掛けてから、蛇口に手を差し出せば、自動でお湯が出てきた。
そのお湯を両手にためて顔を洗った。
数回、温かいお湯で洗ったところで、首にかけていたフェイスタオルで顔を拭いた。





「・・・・・・緊張する・・・・・・。」





『凛道蓮』で修羅場はくぐり慣れているけど、『菅原凛』は修羅場に慣れていない。
熱中症で入院した時だって、人任せ・・・ヤマトに助けてもらって、乗り切った形だ。





(でも今回は、自分の力で乗り切らなきゃいけない・・・!!)





鏡に映る自分を見つめながらつぶやく。





「大丈夫だよ、凛。」





鏡の中の『菅原凛』が励ましてくれる。





「きっといじめはなくなるよ、凛。」





ポジティブな言葉を、鏡の中の『菅原凛』が言ってくれる。





「もう・・・いじめられたくない・・・だから戦う・・・!」

(向き合うんだ!いじめ問題と!!)





そう自分を奮い立たせると、フェイスタオルをカバンにしまって、用を足してから、手を洗い、女子トイレから出る。
相変わらず、校内は静かで、誰一人いない。





(無理もないか・・・エスカレーター式な上に、一部の学生だけ偏差値が高い学校だからな・・・。)


三分の二が内部進学で、三分の一・・・・・私みたいな外部入学は少数派だ。

ほとんどの生徒が、勉強しなくても進学が出来る。

しかし、歴史ある学園ということもあり、大企業からの評判はいい。

公務員はもちろん、官僚として生きる場合の人脈作りにも最適な環境でもある。

学習院とまではいかないが、名門と言える学校と、世間では評価されている。





(学習院へ行っていれば、敬宮様が私の先輩だったのだろうな・・・)





直系皇族にして、唯一の『皇女の称号を持つ』、皇太子殿下のことを思いながら女子トイレから出る。

廊下を歩きながら、敬宮愛子様のことを考えた。