彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)




「ボイスレコーダーはお金で買えるけど、人の命はお金では買えないわ。」
「すみません・・・!ありがとうございます!お金は後で―――――」
「返さなくていいわ!いじめっ子達から請求しましょう!領収書も貰ってるから!」
「後藤先生・・・!」
「先生ね、絶対に井谷先生には負けない!校長先生みたいに、渕上家に屈しない!必ず、教育委員会を動かす!だから、一緒に戦いましょう!?」
「・・・はい・・・ありがとうございます・・・!」



ぺこりと頭を下げれば、しらうおのような手が私の頭をなでる。





「大丈夫。菅原さんは何も悪いことをしてない。正しいことしかしてないいい子だから。先生が守ってあげる・・・!」
「後藤先生!」





ギュッとすがりつけば、答えるように抱き返してくれた。





「辛いとは思うけど、証拠集めまで、頑張りましょうね?」
「はい!ありがとうございます・・・!」





後藤先生の言葉に、胸が熱くなる。
井谷の件があってから、教師が公平でないことを思い知らされた。
他の教師たちからは、教師でありながら、バックに力がある・・・親が有力者である子供しか大切にしないのだと学んだ。
心のどこかで、後藤先生も同じだと、彼女からの救いの手に目を背けてきた。
だけど―――――――――





「私、後藤先生のこと、信じてます。」





今なら、心から信頼できる。
船越師範も認めたなら、疑う方がおかしい。



「信じてくれてありがとう。菅原凛さん。」



優しく微笑む後藤先生が、美術の授業で見た聖母マリアに見えたのだった。