恋慕う先輩と帰宅困難者になったなら


◻︎

 靴を脱いで廊下に上がるなり、高崎主任が前方右手を指さした。

「部屋を片付けたいから、その間にシャワー使って」

 えーっ、片付ける前の素の生活を見たいのに。

 真正面にあるドアの先がリビングになっているのだろう。
 目を凝らしても、すりガラスを透視することはできなかった。

「その前に着替えとタオルが要るな……待ってろ」

 ひゃあ!
 この流れは、憧れの彼シャツ⁉︎
 ……っと、“彼”ではないや。
 でも、先輩シャツ、もしくは主任シャツ!

 心躍らせた私が手渡されたのは、首の詰まった青のTシャツに黒のハーフパンツだった。
 と、それから布ベルト。

「ハーパンは腰の紐を縛っても緩いだろ。上からこれで押さえとけ」

 お、おうっ、何とも色気のなさそうな……
 主任をドキッとさせられる開襟シャツがいいのになあ。
 あっ、やっぱりそれは大胆で恥ずかしいから、パーカーのほうがいいかも⁇
 とにかく、これじゃないことだけは確かなんだけど……