恋慕う先輩と帰宅困難者になったなら


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 ここが高崎主任の暮らす町かあ。
 見慣れなくて、ドキドキする。

「腹へったなあ。それと今日は疲れたから、もう1杯飲みたい。コンビニに寄ってもいいか?」
「はい、私も歯ブラシとか買いたいです」

 高崎主任が商品のほとんどないお弁当売り場へ向かっている間に、私は歯ブラシを探しに行った。

 メイク落としも買おうかな……

 主任にすっぴんを披露することに、一瞬だけ抵抗を感じた。
 けれど、もはや化粧は崩れまくって、おでこと鼻は脂でテカテカなのだ。
 現状より、清潔なすっぴんのほうがいくらかマシだと思われる。
 お泊まりスキンケアセットもカゴに追加した。

 続いて、アルコールとおつまみのコーナーへと移動した。

「美村! この時間にワイン、それもフルボトルってどういうつもりだよ?」
「私の分はハーフだけですよ」
「まさかと思うが、俺を頭数に入れてるのかよ!」
「チーズクラッカーとピスタチオ以外にほしいものありませんか?」
「いや、十分。言っておくけど、うちにはワイングラスなんてないからな」

 主任は苦笑いしながら缶ビールを戻し、お弁当の代わりに選んだはずのカップラーメンを冷凍スパゲティに変更すると、無造作に私のカゴへ入れた。

 そうして、私からカゴをひったくってレジに直行する。

「へへっ、ありがとうございます」
「どういたしまして」