恋慕う先輩と帰宅困難者になったなら


 ところが、また高崎主任からメッセージが来た。

『ホームの降りたところで待っていろ』

 今日の打合せ資料か何か渡されるんだろうか。

『了解です』

 新幹線から降りると、横殴りの雨が降っていた。
 そこで、ホームの内側に入って待っていると、じきに主任が駆け足でやってきた。

「臨時列車に乗っても、家までは帰れないよな?」
「はい。でも、」
「俺の家までなら電車がある。美村も俺の家に来い。今日はビールを飲んでしまったから、明日の朝、車で送ってやる」

 『そんな、悪いですよ』と口では言いながら、タクシーで帰る予定をぶん投げて成層圏外まで放った。

「主任、車もってるんですね」
「車の運転が唯一の趣味」
「へえ、いいですね」

 助手席に座りたい!

「って、今はどうでもいい! そんなことより臨時列車に遅れる。ほら、急ぐぞ!」

 早足で行く高崎主任の背中を追いかけ、追いつくと同時に在来線の車両に乗りこんだ。