恋慕う先輩と帰宅困難者になったなら


 空き箱を捨てにデッキに出たときだった。
 またアナウンスが入った。
 これから風雨がますます強くなることが予想されるため、停車予定でなかった駅に急遽停まってやり過ごすという。

『停車時間は40分ほどを見こんでいます』

 マジですか。
 これって、災害といってもいいレベルなんじゃ……

 客室に戻ってみると、乗客は一斉にスマホを操作し始めていた。
 席に腰を下ろすと同時に、私もスマホを取り出した。
 誰かにこの緊急事態について話したい。

 誰に?

 候補は何人も思いついたけれど、真っ先に頭に浮かんだのはあの人だった──

 とそのとき、メッセージが届いた。

『びっくりだな』

 それだけで不安が消える。

『本当ですよ!』
『終電は大丈夫か?』
『大丈夫じゃないです‼︎』
『だよなあ。まいった』

 不謹慎極まりないけれど、一緒に災害に巻き込まれたお陰で、高崎主任とやり取りができてうれしい。
 けれど、もどかしくもある。
 主任のいる車両まで会いにいきたかった。