恋慕う先輩と帰宅困難者になったなら


 私は総合機械メーカーに勤めていて、今日は部品メーカーさんと契約前の重要な打合せがあった。
 ついでに製造ラインの見学も。
 小さなペンディング事項はいくつか残ってしまったものの、大筋で合意できた。

 そして今は帰路の途中。

 主任も同じ新幹線だけれど、席は離れて取った。
 よほど仲のいい社員同士でない限り、並んで取ることはない。

 ──美村は何号車だ? じゃあ、ここで。お疲れ様。

 主任はホームで私にそう言うと、お弁当と500mlの缶ビールの入った袋を下げて、ちょっとうれしそうに自分の乗車口へと行ってしまった。
 出張の帰りには金曜なら500ml、それ以外の日なら350mlの缶ビールを1本と決めているそうだ。