恋慕う先輩と帰宅困難者になったなら


 けれども、しあわせな時間はあっという間に終わるのが、世の中の常。

「ぐうう! こんなにすぐハーフ分を飲み干してしまったなんて……」
「いや、美村が3分の2飲んだよ。ずいぶん顔が赤いが、大丈夫か? 水飲め、水」
「水を飲んだらお開きですか?」
「当たり前だ。もう2時だぞ。歯を磨いて寝ろよ」
「そんなあ」

 この時間が終わってしまうのはもったいない。

「まただ。俺の家でその顔は禁止!」
「その顔、その顔って、どんな顔のことか分かりません」
「気持ちがダダ漏れのその顔だよ‼︎」

 気持ち?
 まさか主任に対する数々の願望がダダ漏れ⁉︎
 それは恥ずかしい……

「俺が可愛い仔犬ちゃんだからって、危機感なさすぎだろうが!」
「ぷふふっ、やっだあ。主任はちっとも可愛い仔犬ちゃんじゃないですよ。シゴデキだから、そうだなあ……シェパード? ボーダーコリー?」
「そういううれしいこと言われると、オオカミになりそうになるんだよ!」
「オオカミ! それもクールでカッコいいですねえ……んがっ!」

 鼻を摘まれたのだ。