恋慕う先輩と帰宅困難者になったなら


「やっぱりな。ああ言っておいても、美村は待っているような気がした」

 そう言いながら、スパゲティをレンジで温め始めるのが聞こえてきた。
 待っている間にこっちへ来て、ワインのスクリューを開け、こぽぽぽっとグラスに注ぐ。

「美村? 寝てるのか?」
「起きてます」
「なら、何で目閉じてんの?」
「邪念が蘇らないようにです!」

 おかしなこと言い出した、と笑いながらピスタチオかチーズクラッカーの袋を開ける。

「ほら、乾杯するよ」

 私はここでようやく目を開けた。

 ひゃあ、湯上がりの主任を拝めるなんて!

「乾杯」

 グラスを軽くぶつけてくれた。

 そうそう、変な欲を出す前はこれがしたかったんだった。
 それが叶うなんて、私はなんて果報者なの!