路地裏、人気の無いバーの入口の横で1人の男が吸血鬼に襲われていた。
艶やかな髪を靡かせ、紅い唇を白い肌に付けて鋭い牙を立てている女と、青く結った髪を垂らして血色が悪くなってゆく細身の男性。
どちらとも、此方に気付いていない。
邪魔をしてはいけないな、と離れようとしたその時。
_彼の真白な瞳が彼女を捉えた。
青白い、だが整っている綺麗な顔がゆっくり此方を見て、血色の悪い唇が震えた。
その瞬間、身体が動いてしまった。
「他所でやってくれます?そこ、私の行きつけのお店なので。」
近寄り、紅い瞳を鋭く細めて彼女は言った。
此方に気付いた吸血鬼の女が唇を男の首筋から離し目線を向ける。
すると、罰が悪そうな顔をして
「何よ…あと少しだったのに。」そう言い残して立ち去った。
悟ったのだろう。
相手は自分では敵う相手では無いと。
これでも、何百年と生きていて、"能力持ち"の吸血鬼だ。
そこらの吸血鬼よりは力を持っていた。
「…大丈夫ですか?」
壁に背を預けてもたれ掛かる男に尋ねる。
「…嗚呼、ありがとう。」
"_どうして助けてくれたんだ?見たところ、お前も吸血鬼だろう?"
少し間が空いて、掠れた低い声で男が彼女に尋ねる。
どうして、だろうか。
彼女も分からなかった。ただ、気付けば行動を止めるような言葉が出ていて。
「…どうしてでしょうね。」
分からなくてそう小さく呟けば、聞こえなかったのか不思議そうに此方を見詰める男。
「とりあえず…貴方を治療しなくては。」
そう言って彼の身体を抱き上げる。
すると、男は一瞬何かを言いかけるが、諦めたように力を抜いて意識を手放した。
艶やかな髪を靡かせ、紅い唇を白い肌に付けて鋭い牙を立てている女と、青く結った髪を垂らして血色が悪くなってゆく細身の男性。
どちらとも、此方に気付いていない。
邪魔をしてはいけないな、と離れようとしたその時。
_彼の真白な瞳が彼女を捉えた。
青白い、だが整っている綺麗な顔がゆっくり此方を見て、血色の悪い唇が震えた。
その瞬間、身体が動いてしまった。
「他所でやってくれます?そこ、私の行きつけのお店なので。」
近寄り、紅い瞳を鋭く細めて彼女は言った。
此方に気付いた吸血鬼の女が唇を男の首筋から離し目線を向ける。
すると、罰が悪そうな顔をして
「何よ…あと少しだったのに。」そう言い残して立ち去った。
悟ったのだろう。
相手は自分では敵う相手では無いと。
これでも、何百年と生きていて、"能力持ち"の吸血鬼だ。
そこらの吸血鬼よりは力を持っていた。
「…大丈夫ですか?」
壁に背を預けてもたれ掛かる男に尋ねる。
「…嗚呼、ありがとう。」
"_どうして助けてくれたんだ?見たところ、お前も吸血鬼だろう?"
少し間が空いて、掠れた低い声で男が彼女に尋ねる。
どうして、だろうか。
彼女も分からなかった。ただ、気付けば行動を止めるような言葉が出ていて。
「…どうしてでしょうね。」
分からなくてそう小さく呟けば、聞こえなかったのか不思議そうに此方を見詰める男。
「とりあえず…貴方を治療しなくては。」
そう言って彼の身体を抱き上げる。
すると、男は一瞬何かを言いかけるが、諦めたように力を抜いて意識を手放した。
