あの日の好きが、まだ胸で息をしてるから、君にもう一度伝えたい

明弥sideー

卒業式の日の朝。



教室に入ってきた凪の顔を見た瞬間、俺は小さく息を吐いた。



やっぱり言うんだな、今日。



「おー、告白マンおはよ」



わざと大きな声で言ってやった。



美奈に肘で小突かれて、「声でかい」って笑われた。



分かってんだよ、美奈。



俺が黙ってるわけないじゃん。



ずっと分かってた。



凪が璃菜を見てるときの目。



美奈に隠れて練習を見てるときの顔。



あれは、どう見ても恋だった。



俺?俺は別に……なんだろな。



友達だから、応援してるよ。



そりゃ当たり前だろ。



でも、もしあいつがずっと俺の方だけ見てたら、なんてことを考えた夜もあった。



笑えるだろ。



一緒にふざけて、ゲーセンでアホみたいに遊んで、それで十分だったのに。



放課後。



卒業アルバムにふざけて落書きして、なんでもないフリして……



でもあいつが璃菜を呼び出す背中を見送ったとき、胸の奥がちょっとだけヒリついた。



璃菜を連れ出すとき、「私、ボコられる?」なんて冗談で笑ってる横で、俺は『がんばれ』って顔を作った。



それが俺にできる全部だった。



振られても、笑って俺が隣にいりゃいい。



そう思った。



だから、今も同じ。



たまに「まだ好きなんだろ?」ってわざと茶化してやるのは、応援のつもりだし、ほんの少しだけ、意地悪でもある。



いつか、ちゃんと全部笑い話になる。



そしたら、俺もちゃんと前を向けるだろ。



END.