強い―――……?
それが何を意味しているのか分からず戸惑っていると
「灯理ちゃん泣いてないじゃん?あんなに陽菜紀と仲良かったのに。
きっと灯理ちゃんは涙を押し込めてるんだと思う」
「買いかぶり過ぎだよ。そんなことはない」と震えた声で答える。
「私は……!」沙耶ちゃんが少しだけ強い口調で被せた。びくっとして肩を震わせると
「正直、陽菜紀と親しくなかったし、私とは正反対なタイプだから仲良くなれるとも思ってなかったし、でもあの子は中心にいた。常に、みんなの。
でもやっぱり一緒に過ごしてないと記憶って薄れるものだし、こんな浅い関係だけどでも……何でだろう…」
沙耶ちゃんの言葉は震えていた。泣きたいのを堪えているように思えた。あの気丈な沙耶ちゃんが……。私は沙耶ちゃんの隣に歩み寄り、そっと震える手を握った。
沙耶ちゃんが少しだけ驚いたように顔を上げ、だけどその顔に涙は浮かんでいなかった。でも浮かんでいなかっただけで、きっと今にも泣きそう。目の淵が真っ赤だ。
「沙耶ちゃん……泣いてもいいんだよ?」
沙耶ちゃんはゆっくりと私の手を握り返してきた。こうやって沙耶ちゃんと手を繋ぐのなんて何年ぶりだろう。きっと小学校の低学年で遠足に出かけたとき以来だ。あのときは意図して繋いだわけではなく先生が「危ないから、手を繋いでね」と言ったから。嫌ではなかったけれど、ただ言われたから、と言った感じだった。
でも今は自ら沙耶ちゃんの手を握りしめている。そうしたいと思った。
「うん、灯理ちゃん……ありがと…」
沙耶ちゃんが指摘した通り、私は最後の最後まで涙を流さなかった。
最後まで毅然とした態度で陽菜紀を見送った。
私が泣かなかった理由。それはたった一つ。
私が泣いたら―――きっと心配性の陽菜紀だから安心して天国に行けないと思ったから。
引き止めちゃダメ。
陽菜紀は苦しみからようやく解放されたのだから。だから安らかに―――
バイバイ
陽菜紀



