お手洗いを済ませて、席に戻るとその後30分も経たない内に同窓会はお開きとなった。
それぞれ店の前で別れて駅に向かうとき、何だかどっと疲れが来た。大して歩いていないのに足が痛い。足に合っていない喪服用のパンプスだったから、と言うのもある。
家に帰り着いて、パンプスとストッキングを脱ぐと、予想した通りかかとが赤く擦り剥けていた。応急処置で救急箱から絆創膏を取り出し張りつける。
「あーあ……明日も履かなきゃならないのに…」思わず独り言が漏れる。
―――明日は陽菜紀の告別式だ。
もちろん会社には有休を取ることを申し出て、その承諾も得ている。
喪服の上着とワンピースを脱ぎ、皺にならないようきれいにハンガーに掛け、消臭スプレーを掛けた。明日も―――この色を纏うのか、と思うとちょっと気が重い。
本当の意味で陽菜紀とお別れする、と改めて思うと―――……
シャワーを浴びメイクを落として、眠る前に温かいハーブティーを飲んでベッドに横たわった。私が飲んだハーブティーはリラックス効果をもたらしてくれるもので、いくらか緊張が解けた肉体がすぐにベッドに沈むような感覚があったが、
でも眠りはやってこなかった。
何度目かの身じろぎをして寝返りをうつ。枕元に置いた充電器に差してあるスマホを見ると画面は2:18となっていた。
何だか嫌な時間に時計を見ちゃったな。
ちょうど丑三つ時だ。昔の陰陽五行ではこの時間帯……鬼が出るとされていて、最も陰の気が強く満ちてくる時間帯で、幽霊が出るとも言われている。



