陽菜紀の計画は分かった。私と永遠に一緒に居るため、お金持ちのご主人と結婚して自らハニートラップを仕掛けて、ご主人に不倫をさせ、さらに離婚をする際財産分与と多額の慰謝料をもぎ取るつもりだった。そして私と一緒に暮らす筈だった―――

「陽菜紀はこうも計画していたよ。旦那に浮気され失意のどん底にいることを装って君の同情をかうつもりだった。
心優しく生真面目な君に『もう男なんて要らない。灯理だけ居てくれればいい』と言えば、君は深く傷を負った陽菜紀のことを放っておけなくなる。
そしてあいつは、カネと君―――両方を手に入れられる、と言う寸法だ。
全部あいつが話してくれたよ、隠すことなくペラペラと。俺の弱みを握っているから言えたんだろうけど」

開いた口が塞がらない、とはこのことを言うのだろう。

まさか陽菜紀がそんなことを企んでいたなんて。ずっと一緒に居たのにそんなことも気づかなかったなんて。

でも……そう言えば陽菜紀のおじさんが陽菜紀が亡くなったあと、こんなことを言っていた。

『私亡き後、陽菜紀にこの家をあいつに残すつもりでした。だから嫁ぐと言った際に、言ってしまったんですよ。この家はどうするつもりだ、って。そうしたらあいつは

『大丈夫、必ず戻ってくるから』と言ってて』

おじちゃんは陽菜紀の発言を大して気にしていない様子だった。私だって聞かされたときは何とも思わなかった。けれどそれは陽菜紀の計画の最終段階だった―――……?

ご主人と離婚して財産と慰謝料を手にして私とあの家に住むため……