予想もしていなかった答えに私は目をまばたいた。
「確かに……ご主人はお金持ちだったけれど。でも結婚して文字通りのセレブになることに、どんな深い意味が……?私と遊びに行く為だけに……?」
「違う。結婚生活は陽菜紀の計画の一部に過ぎない。
陽菜紀は高校卒業後、どうしたら君と一生一緒に居られるか計画を練っていた」
高校を卒業してから―――……と言うことは約十年も前からそれは計画されていたことになる。そんなにも前から―――
「同性婚は今現在日本では認められていない。けれど君が結婚さえしなければ陽菜紀は君と一緒にいられると思っていた」
「理屈は……分かるけれど、でも……現実問題難しいじゃない。だって女一人だって一生独身で食べていくのは大変なのに、二人も…
それに、私に好きな人が出来たらどうするつもりだったの?」
「君に好きな男が出来たら、それこそ何としてでも妨害しただろう。俺みたいに―――ね。
そして陽菜紀の結婚した理由。陽菜紀の相手は金持ちで、しかも女関係が派手な男ならどんな男でも良かった」
「お金持ちって言うのは分かるけれど……女性関係が派手な人が良いって、どうして…?だって浮気されて捨てられるかもしれないのよ」
「それこそが大きな目的だ。
ハニートラップだよ。
ある程度の結婚年月を経て、相手に資産を作らせる。その資産が陽菜紀の目的とするところまで達したところで、陽菜紀はわざと旦那に外で女を作らせる。そうしたら離婚事由に旦那の離婚で、と訴えれるし慰謝料も取れる」
ハニートラップ……



