バラバラだったピースが一つ…そしてまた一つ、とはまっていく。
完成を見たくないのに、それでも知りたくて―――私は事実を一つ一つ繋げていった。
けれどピースはまだ揃わない。不完全だ。まだ不透明な部分が多く、完成形が分かったようでそうではない。
何か……何か決定的な何かがないだろうか。意味もなく部屋中をキョロキョロと見渡していると、カラーボックスに視線がいった。
三段の引き出しがあって、その一番下の段に陽菜紀から受け取ったクレヨンの落書きの画用紙が丸めて入れられていたのを思い出した。
もう何度も…それも穴が開く程見たのに結局何も分からず、それを仕舞いこんだままだ。あの画用紙に何か細工してあるようには思えなかった。画用紙はただの画用紙で、クレヨンはただのクレヨンだ。どこの店でも取り扱っている、何の変哲もないもの。
だが、まだ見落としがあるかもしれない。私は丸めた画用紙を取り出すとそれをゆっくりと開いた。
そこは何の変哲もない赤い四角と黄色の星が描かれているだけで、特に変わったところもない。だけど絵ではない。私がずっと引っかかっていたのは、この柑橘系の
香りだ。
陽菜紀が愛用していた香水ではないことは分かっている。
再度顔を近づけ、グレープフルーツや夏みかんと言うオレンジ系よりみかんの方が近い感じかな。と考えていた。
「みかん……」
と一言言って突如、閃いた。
その画用紙を手に慌てて立ち上がり、私はキッチンに向かった。鍋もフライパンも置いてないコンロに火を点ける。弱火にしてその紙が燃えない程度に炎に近づけ、私は目を開いた。



