先生と拒否柴系女子【本編】

 初心者でも弾けそうな譜面を仕上げると、先生はとても喜んでくれた。
 私の実家とは訳が違い、団地内でグランドピアノをガンガン弾くことなど許されない。
 先生は、借り物だというエレクトーンを部屋に置いており、私たちはヘッドホンをして短期集中の特訓を始めた。
 レッスンが終わると、
「じゃあ、今日の宿題は⋯⋯」
 高校教師に、女子高生が宿題を出すという奇妙な話。
 先生は、ピアノ初心者だという割に、私が居ない間によほど練習をしているのか、それとも実は才能があるのか、めざましく上達していった。
 レッスンの最中、私は密かに、先生の真剣な横顔に見とれていた。
「先生って、本当に友達思いなんですね」
「そうかな」
「絶対に喜ばれると思うよ。あ。さては、その友達って、実は元カノだったりして」
 それとなく、探りを入れてみた。
 普段の私なら、そんなことには全く興味がないはずなのに。