医者になり、雪菜と一緒になる。


そんなことは自分にはありえないことだと思った。


ふぅーと息を吐く。


俺は雪菜が好きだ。
こんなに誰かを好きになったことは1度もないし、俺の人生ではもう雪菜以外にはこんな気持ちにはならないだろう。一挙手一投足がかわいくて、愛おしい。


ただ、俺はそれなりのことをやってきた、人を殺したことはないが、暴力、脅迫なんかはもちろんやった。

このままこの世界にいたら人殺しだってするだろう。


そんな人間が雪菜の傍には相応しくないと思う。

この手は雪菜の手を握ったり、医療で人を助けるにはもう汚れすぎている……。



俺にはやっぱり裏の世界があっている。
医者の夢も雪菜のことも忘れて、頭を下げてこの組に残らせてもらうべきだ。


理性で解決しようとした時、ふと大介の言葉が浮かぶ。





本当の幸せ……




俺はしがらみもすべて捨てた時、いったい何を選ぶだろうか。
雪菜?医者の夢?京極組?






雪菜を選ぶ……










冬弥はそっとつぶやいた。