冬弥は固まってしまって、どうしたらよいか分からない。組長や若頭などの前でこんな態度は良くないことは分かってる。だけど、思いがけないことにさすがに脳が処理しきれない。


大介は続ける。
「冬弥、自分の人生だ。本当の幸せについて考えろ。」


「すみません。驚きすぎて、なんて言ったらよいのか分からなくなってしまいました。」

冬弥は頭を下げる。


「今すぐは難しいこともあるだろ。なので冷静になって、またこの部屋にこい。ただ長くは待てない。」


「分かりました。ここに俺が残るという選択肢もあるのでしょうか?」

冬弥は聞く。


「お前がそれがいいと言うなら、考える。ただ、そうなれば医学の道も惚れた子のことも忘れて、この道にさらに精進してもらう。」

「分かりました。」


冬弥はそう言って組長の部屋を出た。