「雪菜、大丈夫だから。少し頑張ろうか。」

冬弥はそう言って、雪菜を優しく寝かせて、布団をかける。


「眠たくなる薬いれる。注射するから、少し痛むよ。」

冬弥はそう言って、不安げな雪菜の腕にさっと注射をした。

冬弥は注射が上手で一瞬で刺されて、痛みはなかった。
薬が入ってくると雪菜は少しずつふわふわした感じになる。

「とう…や……さ…ん…」

眠る時、少し怖くて冬弥の手を握る。

冬弥も優しく握り返すと、もう片方の手で雪菜が眠るまで、優しくトントンとした。


手の力がなくなり、すぅーと雪菜の寝息が聞こえる。



やるか。


冬弥は雪菜の背中のマークに目を向ける。
久しぶりに緊張する。

好きな子の体にメスをいれるのはやはり抵抗がある。だけど、このままじゃあ、彼女が苦しい思いをするだろう。


さっき背中を診察しようとしただけで、怖がっていた。

もうこんな呪縛から解放させてやりたい。


「傷はほとんど残らせないから。」

冬弥は小さくそうつぶやくと、雪菜の背中にメスを入れた。