雪菜がこの屋敷にいるのも残り1週間ほどになった。


冬弥とはあの日以来話していない。

告白して振られてしまった手前、自分から話しかけずらい。

このまま話もできずお別れは寂しいなと思うけど、叶わぬ恋をいつまでも引きずっても仕方がない。なかなか忘れられそうにないけど、笑顔で頑張ろうと思った。

いつかまたあの星空を見に行こうと。
そして今まで行けてなかった両親のお墓で自分が初めて好きになった大切な人が星空綺麗だと褒めて言たって報告しよう。




朝食の片付けをしていると、冬弥が食堂にやってきた。


「雪菜、ちょっといいか?」


久しぶりに話しかけられて少し気まずく思ったが、やはり嬉しい。


真希にいっておいでと言われたので、食堂で冬弥が座る向かいの席につく。


「どうされたんですか?」

雪菜が聞く。


「雪菜さ、背中に橋本組でつけられたマークあるだろ。あれ取りたくないか?
俺は取っておいた方がいいと思うんだ。」


冬弥が真剣な表情で話す。

「取れるんですか?取れるなら取りたいです!」

雪菜が言うと


「取れる。ただやはり多少、傷が残ると思う。でも橋本組でつけられたものがあるとこれから先、困ることがあるかも知れない。傷もできる限り残さないようにはしようと思う。」


「冬弥さんがやってくれるんですか?」


「あぁ。ただ俺は医師免許は持ってないし、本当の医者じゃない。だから、不安に思うなら、雪菜がちゃんとした医者に頼んでもいいと思う。だけど、その時、印をさらけ出すのに抵抗が出てくるかもしれない。俺ならもう知ってるし、気にすることないから。」

冬弥の気づかう優しさに胸が熱くなる。


「冬弥さんがいいです!!お願いしてもいいですか?」

「いいよ。ただ今日やりたい。皮膚を切開するから、手術中は麻酔で痛くないけど、術後痛むと思うし、経過を見たい。頑張れるか?」

「そんなに痛いですか?」

雪菜は不安になる。


「痛くならないように薬をいれる。それでも痛かったら、痛み止め足すし、大丈夫だ。
それにマーク自体は大きくないし、手術自体はすぐ終わるから。」

冬弥の説明に

「頑張ります。よろしくお願いします。」

と伝えた。