冬弥は帰りの車を運転する。


雪菜とはあの後、やっぱり少し気まずくて、帰ることになった。


雪菜は何も話さず、窓からの景色を見ていた。

だんだんとコクコクと眠たくなってるのが分かった。
朝から仕事して、もう深夜だ。眠たくないわけがない。

寝ていいよと言うと、悪いからと頭を横に振ったが、シートを少し倒して毛布をかけてやると眠りについた。



雪菜に好きだと言われて胸がギュッとなった。



俺もだと思った。
だけど言えない。
喉元まででかかった好きだという言葉に慌てて蓋をした。

今日の雪菜は桜に借りた服を着ていて、いつも以上にかわいかった。雪菜が喜んでスカートが揺れるたびに俺は心を鷲掴みにされていた。本当はかわいい、似合ってるって言いたかったけど、それを言うと自分の気持ちを抑えられなくなりそうで言わなかった。

雪菜には俺のいる世界は似合わない。
純粋でかわいくて優しい彼女には。

抱きしめてくれる手を無理やり離した。

そうでもしないと感情が溢れてしまいそうだったから。

だけど雪菜の涙目を見て理性が少し崩れて、唇にキスをした。


キスした瞬間かわいくて愛おしさでいっぱいになる。
だけどこれが最初で最後のキスなんだと思うと、切なくて胸が苦しかった。


隣に眠る雪菜を眺める。


かわいすぎ……。
俺だってそばにいたいよ。






「好きだ。」


眠る雪菜に本当の告白の返事をした。