車を走らせていると懐かしい風景が目に入ってくる。


「あれ?ここって私が育ったところです。」

雪菜が驚いたように言うと


「あー、分かった?そう。」


冬弥が当然かのように言う。


「なんで知ってるんですか?」

雪菜が不思議そうに言う。


「組の情報網半端ないんで。」

冬弥がニヤッとして答える。


「もうすぐ着くよ。」


冬弥がそう言って車を走らせる。


「あっ、ここよく通ってたスーパーです。
ここのケーキ屋さんで毎年誕生日ケーキ買ってました!」

夜中なので閉まっているが、久しぶりの光景に雪菜は嬉しくて仕方がない。
雪菜は両親が亡くなって、叔父夫婦に引き取られてから1度も帰ってきていなかった。
懐かしくて、ワクワクする。

冬弥は楽しそうに窓から外を眺める雪菜を優しい目で見つめた。