大介の部屋に雪菜は呼ばれた。

雪菜は組長の部屋ということで、緊張する。


｢失礼します。｣


雪菜は襖を開けて、部屋に入り、頭を下げる。


そこには大介、真希、雅人がいた。

｢雪菜ちゃん、顔を上げて。｣

大介の言葉で雪菜は前を向く。


｢急に呼び出して悪かったな。リラックスしてくれたらいいから。｣

大介がにこやかに話すことで、雪菜の緊張が少し軽くなる。


｢真希や雅人から聞いたが、一生懸命働いてくれてるみたいだな。料理は美味いし、怪我したやつらの世話もしてくれてありがとう。｣

｢いえ、とんでもございません。｣

雪菜は慌てて、頭を下げる。

大介は優しく話しているが、やはり組長のオーラというものがある。大介とほとんど会話をしたことがない雪菜はおどおどしてしまう。


｢橋本組との処理はほとんど目処がたった。この件で雪菜ちゃんが襲われることはおそらくないと思われる。
なので雪菜ちゃんの今後について話したい。｣

｢…はい。｣

雪菜は緊張した面持ちで大介を見る。

｢あと1ヶ月ほどはまだ橋本組との関連の仕事があるので、この組にいてもらう。
ただその後は、ここを出ることになる。ここを出れば、学校に通える。
休学期間は7月の終業式の日から、11月中旬までとする。学校に上手く申請すれば、今までのクラスに戻れ、欠席日数も調整して、テストを乗り切れたら進級できるようにしておく。｣


｢ありがとうございます！｣

出席日数のことを雪菜は気にしていた。留年すると恵美達とは一緒に授業受けたり出来なくなる。
なので大介の言葉でかなりほっとする。
学校に戻れるだけでなく、雪菜の進級のことも考えてくれる優しさに胸がいっぱいになった。