売られた少女はクールな闇医者に愛される

冬弥の説明を聞きながら、雪菜は解いていく。

「えっそれは違うだろ。なんでこっちの公式使わないんだよ…。」


「なんでこっちの公式使うって分かるんですか?」

雪菜は不思議そうに冬弥を見る。
冬弥は軽くため息を吐く。

「それはここのXがこうだから……」

冬弥は丁寧に説明していく。


「あーーー、分かりました!!そういうことですね。冬弥さん頭いいです!!ありがとうございます。」

雪菜は満足気に言う。


「冬弥さんなら、どこの大学でも受かっちゃいそうですね。」

雪菜はニコニコしながら話す。



「雪菜はさ、いきたい大学とかあるの?」

すると急に雪菜は顔を赤くする。

「まだ、誰にも言ってないんですけど…。私、看護師を目指したいなと思ったんです。ここの人達の治療のお手伝いさせてもらって、興味がわいたんです。もっとしっかり知識や技術をつけたいなって。
あと冬弥さんみて、こんな風に医療で誰かを助けられたら素敵だなと思いました。」


冬弥は雪菜の言葉に少し驚くとともに、優しく微笑む。

「雪菜なら出来るよ!」

そう言って、頭を撫でた。


「冬弥さんはこれからやりたいこととかあるんですか?」


雪菜の発言に冬弥は言葉が詰まる。

昔は医者になって多くの人の命を救いたいと柄にもなく考えたことがあった。医術を学ぶのは楽しかったし、自分が初めて向いてると感じたものだった。

ただこの世界で医術を極めても何にもならない。必要な傷や病気の手当が出来れば良い。
高度な医療機器があるわけでも、最新の薬剤を試す機会もない。

いつからだろう
大好きだった医学書を読むのをやめたのは…

「特にない。」
冬弥は返事をした。