冬弥が怪我した人の手当をしていた。
この組員は足を刺されていた。


｢まだ結構痛みますか？｣

｢うーん。そうだな。｣

冬弥は繋がった点滴の横から追加で鎮痛薬をいれる。

｢10分くらいしたら効いてくると思います。｣

｢ありがとう。助かるよ。｣


冬弥は怪我した一人一人を診ていく。
言葉は少ないが、診察は丁寧だ。

特に慰めの言葉なんてかけないが、痛かったり、辛かったりすると対応してくれるため、なんやかんや、みんなから信頼されている。


｢冬弥ーー。頭痛いわ。冷やさせてくれ。｣

｢あー。｣

冬弥がそう言って、台所に取りに行こうとすると雪菜が部屋にやってきた。

｢あっ雪菜、台所から保冷枕とってきて。｣

｢分かりました。｣

雪菜はそう言って、台所の冷凍室に行く。

橋本組が解体になったことで、雪菜が狙われる可能性はかなり減ったのだが、橋本組の残党やまだ橋本組の縄張りの解体後の動きなどがみえないため、今まで通り、台所、自分の寝ている部屋、診療部屋の行き来だけ許されていた。

ただ、日中は冬弥は診察、竜也は橋本組解体後の仕事で忙しい。怪我をしていて動ける組員も少ないので、護衛はなくなった。


｢持ってきました。｣

そう言って、雪菜は頭を痛がる組員に保冷枕をそっと入れてあげる。


｢あー、ありがとう。｣

雪菜は優しく微笑み、

｢しんどかったらまた言ってくださいね。｣

と優しく答えた。