｢雪菜ちゃん、これからのこと話すな。｣

雅人は少し改まって言う。

｢橋本組は今も雪菜ちゃんを探してる。今回雪菜ちゃんの物品を動かしたことは橋本組にバレている。あえてバレるように動かしたからな……。
そのため彼らがここを狙ってくる可能性が高い。｣

雪菜の瞳が怯えたのがわかる。

｢あの……私のせいで……。｣

雪菜は申し訳なさでいっぱいになる。

｢雪菜ちゃんのせいじゃない。こういう裏の世界にも裏の世界のルールがある。橋本組はこのルールを守っておらず、組合でも問題視されている。俺らもそろそろ動きたかったから、雪菜ちゃんの物品で揺らしてみただけだ。雪菜ちゃんのせいではないから気にしないで。｣

雅人は優しく言うが雪菜の不安な表情はかわらない。

｢そこでだが、雪菜ちゃんに護衛をつけたい。これから忙しくなるし、人手を外に回している時に狙われたら、危ない。屋敷は広いからな、どこに雪菜ちゃんがいるか分からないようじゃ守れない。｣


｢護衛ですか？私、治療していただいてた時みたいに部屋で生活するんですか？部屋の外を守っていただくみたいな……。｣

橋本組の時は1部屋に閉じ込められて見張りがいた。


｢いや、そんなことはない。俺ら的には雪菜ちゃんには変わらず働いてもらえるとありがたい。ただ、近くで見守る人間を置きたいんだ。｣

｢…はい。｣

｢護衛は冬弥と竜也にしてもらうことになった。基本冬弥にメインでやってもらうことにしてるが、他の仕事の都合なんかで竜也にしてもらうこともある。頼りになるヤツらだから、安心して過ごしすといい。困ったことがあれば聞くんだよ。｣

雪菜は冬弥と竜也を見る。冬弥の表情は変わらないが、竜也がよろしくなと言ってくれた。

｢ありがとうございます。よろしくお願いします。｣

雪菜は頭を下げた。