恋に気づいてからはあまり眠れなかった。

朝は、冬弥を起こさないようにそっと部屋をでて台所に向かった。

いつものように朝食の準備をして、洗濯して、掃除して、夕食の準備をする。


だけどいつもよりなぜかソワソワしてしまう。

台所で必要以上に冬弥を探してしまう。

叶いそうな恋なら楽しいだろう。

だけど、叶わないとわかっている恋ほど虚しいものはない。

初めて恋をした雪菜は心の持っていきどころが分からない。ただ桜や真希に相談できる話題ではない。


恵美ならなんて言ってくれるかな?

ふと高校での親友を思い浮かべる。

みんなよく恋の話をしていた。
私も聞いてもらいたい……

友達に会いたい……



雪菜は物思いにふけている自分にハッとする。
昨日思いっきり泣いたんだから、今日は泣かない!
もしかしたらまた学校通えるかもしれないんだから。

その時は恵美に聞いてもらいたいな。

私に好きな人が出来たなんて言ったら、恵美なんて言うかな??

恵美の驚く顔を思い浮かべて、ふっと微笑んだ。